気象庁はまだ認めてくれませんが、いよいよ関東でも梅雨明けし、先週からところにより35℃を超える猛暑日を観測しております。

我が家でも家にいる間は弱めの冷房をつけっぱなしの生活が始まったわけですが、気になるのは今年の電力需給。

去年の今頃は節電だ!計画停電だ!と大騒ぎだった気がするのですが、今年はまだ聞かない気がします。

あんまり言ってませんよね?私の感覚が鈍いだけ?

実際のところ今年の電力状況はどうなっているのか気になったので調べてみました。


■電力需要


まず東京電力のサイトからデータを頂いてきました。

去年と今年の電力需要の実績データがありましたので、それを前年同日で重ねてみたのがこちらのグラフ。

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※夏のピークである13時台のデイリー推移

こちらを見ると6月中旬から7月前半にかけてはたしかに今年の方が去年よりも需要が少ない(節電できている?)のでなんとか乗り切れそうな雰囲気が出ています。

が、それも先週までの話。

このブログ執筆時点の最新データである7/17は記録的な暑さとなったこともあり、電力需要が跳ね上がり、2011年の夏の最高記録に迫る勢いです。


■電力供給


それに対して今年の電力の供給体制はいかほどか、これも東京電力のサイトより拝借。

ご丁寧なことに電力需給カレンダーなるコンテンツが見つかりました。ありがたや。

最大電力実績カレンダー
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これを見るとやはり需要が跳ね上がった7/17には供給力に対して90%を記録。

おいおい、やばいんじゃないの?

と焦ってしまいますが、この最大電力実績カレンダーを遡って見てみると、冬やエアコンを使わなそうな4月とかでも90%という日は存在します。

これはどういうことかというと、

    実績  供給    使用率
4/22  3467  3850   90%
7/17  4892  5383   90%

利用実績が1500万kw上がっているのに対し、供給力も1500万kw上がっているのであります。

他の日を見ても使用率は常に80%以上をキープしており、「ピーク時供給力」というものが需要に応じて可変であることがわかります。

それじゃ使用率を算出する意味がないんじゃないの?という突っ込みはナシです。


■供給力が変動する理由


供給力が日ごとに変動する理由も東京電力のサイトには用意されており、それがこちら。


供給力はなぜ変わる?

こちらに書かれていることとしては、

・揚水発電によって、夜間と昼間では発電可能な量に差があり、昼間の方がピークになるようにしている

・水力でも火力でも設備としての理論上最大発電量よりもメンテナンスなどにより、ピーク時の実質供給力は下がるものである

という大きく2点。

私がちょっと気になった、「なぜ4月よりも7月の方がピーク時供給力が大きく増えるのか?」という疑問を解消するものにはなっていませんでした。

原発は総じて動いていませんし、揚水発電の実施可否によってそれほどピーク時供給力に差が生じるとは思えないんですけどね、このグラフを見ると。

peak



■まとめ わからないことだらけ


結局、調べてみてわかったのは、東京電力の示している使用率という数字がやっぱりちょっとあてにならなさそうだということ。

4月から7月でこれだけ増やせるということは、実はまだまだ供給力に余裕があるのかな?と感じてしまいます。

その立場に立つと、現時点で節電、節電とPRしないのはまあ実態に即していてわかりやすい話になります。


ただし、そうすると反対によくわからないのが昨年の節電呼びかけの必要性。

一番最初のグラフで示した通り、今年と昨年ではそこまで電力の使用量に差があるわけではありません。

7/17のようにちょっと暑くなるとグラフが振り切れる可能性もまだまだあるわけです。

でも今年は大丈夫だと、東京電力は5月の時点で早々と広報してしまっています。

計画停電に関するお知らせ

この状態で今年が大丈夫なら、やっぱり去年も大丈夫だったのでは?と勘繰りたくなってしまいます。


去年は原発の必要性を喧伝する必要があったので、アピールプレイとしての節電PRがやっぱり必要だったのかな?と。

そして今年は原発再稼働の方向性が見えてきたので、もうアピールの必要はなくなったのかな?と。

周辺との電力融通まで含めたわかりやすい供給力を提示してくれないと、なかなか理解できないですね。
 

真実は当事者の方々にしかわからないところでしょうが、

「原発止めたら原発の利益以上のお金をあげますよ」

と言ったら、電力ムラの方々はどういう反応をするんでしょうね?


※ちなみに私はどちらかと言われれば原発容認派です。