早くも金曜更新の定番となりつつある戦略事例研究です。

まあ木曜の夜にカンブリア宮殿があるので、そこで見知った事例をそのまま書きたくなるんですね。

今回の事例はリンガーハットでした。

このリンガーハット、意外と行ったことがない方も多いかもしれないが、端的に言うとちゃんぽん屋、もしくは皿うどん屋でしょうか。

黄色い看板が目印で主に街道沿いのロードサイド店が多いイメージ。

今回のリンガーハットの戦略で面白かったのが、メニュー数が少ないこと。

番組では内装の雰囲気からファミレスの一形態として紹介されていたが、その専門ぶりはどちらかというと吉野家などの牛丼系が近いように感じる。

とはいえ、ロードサイド店が多いので、確かに内装はファミリー向けでカウンターよりはテーブルがメインのイメージ。

そこにあえてのメニューの少なさである。


ファミレスのように家族で行くのであれば、全員が満足できるように、なるべく選択肢を多くするためにメニュー数は増やしたほうが良いように思える。

が、リンガーハットはその逆。

それは何のためかというと、おそらく作業の効率化がメインであろう。

ユニークな厨房として紹介されていたが、調理システムがほとんど自動化されていて、麺を茹でる時間がベルトコンベア方式のように管理されていたのが印象的だった。

また、よく考えると主力商品のちゃんぽんと皿うどんはその上に載せる具材も共有されている。

こうして、あえてメニューを減らすことで、作業を機械化しやすくし、人件費を抑えることで低価格を実現しているようだ。

実に考えられている。

また、それを突き詰めていったことで、どうやら自社で調理機械の開発機能まで備えてしまったよう。

その独自の業務に特化した機械をオリジナルで開発することで、改めてチャーハンや餃子などサイドメニューの効率化に挑んでいるとのこと。


差別化の方向として、事業、商品そのもののポジショニングと組織としての強みの2種類がある。

より真似されづらく、差別化を長期化しやすいのが後者の組織としての強みと言われている。

リンガーハットは最初にちゃんぽんという異色のポジショニングを築いた上で、自社での調理機械の開発という組織の強みを作っていったのだろう。

実にうまい。


そもそもちゃんぽんというのはそれほど日本人の食卓に馴染むものではないので、定食などのように接触頻度が高い業態ではない。

なので、自社以外にもう一つでも同じちゃんぽんという業種で参入されてしまうと、とたんに利益を失う可能性が高い。

が、リンガーハットはそうならないように、自社での機械開発による低価格戦略というかなり参入障壁を高くしている。


家族向け外食産業としては、一見弱点にも見えるメニューの少なさを逆手に取り、効率化の末の低価格戦略で自社だけの独自領域をしっかりと守る。

差別化戦略のお手本のような会社だなあ、と今日も感心させられた。