今日も今日とてゲームについて考えておりました。

今回題材にしたいのは「ポケットモンスター(以下、ポケモン)」です。

言わずと知れた世界中で大人気のゲームですね。

ご存知でない方のために説明を入れておきますと、このゲームの内容は大きく3つのパートに分けられます。

それは、

・ストーリー進行(RPG)
・全ポケモン収集
・対戦

の3つです。

今回はこれらの中の「対戦」を通じて考えさせらることがあったので、紹介したいと思います。


■ポケモン対戦、その遊び方

ポケモンの対戦は様々なルールがありますが、最もメジャーなものは

「シングル見せ合いあり63」

というものです。

まるでラーメン二郎での注文時に唱える呪文のようですね。

順に解説していきます。


・シングル

⇒自分と相手のポケモンを場に1体ずつ出し合って戦うルールです。


・見せ合いあり

⇒事前に自分が手持ちとして準備している6体のポケモンをお互いに見せ合いっこするルールです。

・63

⇒見せ合いした6体のポケモンからそれぞれ3体を選んで戦うルールです。


そして、ゲームの勝敗は先に相手の3体を全て倒した方が勝ち、というものになります。



■ゲームの勝敗のカギは事前準備と読み合い

なのでこのルールにおいて、勝利するための方法は大きく二つに分けられます。
・相手のパーティに強いポケモンを用意するか
・相手の弱点を突いた効果的な技を使うか

抽象化して表現すると、「事前準備」と「読みあい」となります。

MECEを意識してさらに分けると、プレイする前とプレイ中のそれぞれに勝敗を分ける大事な要素があるわけです。

また、その事前準備も大きく二つに分けられます。

それは、

・ポケモンを育てる
・パーティを組む

の二つです。

後者の「パーティを組む」とは自分が持っているポケモンの中で、対戦に使った時に勝てそうな6体を選んで組み合わせる作業です。

その時々によって、ポケモンの人気も流行り廃りがあるので、これが最強!という組み合わせがないのが面白いところです。

前置きが長くなりましたが今回記事のテーマとして考えたいのは、前者の「ポケモンを育てる」の中に出てくる、あるパラメータのことです。


■意外と勝敗を左右する隠しパラメータ「個体値」

それぞれのポケモンの強さを決めるパラメータは各種あるのですが、大きく分けると二つです。

またもMECEを意識して表現すると、

・ポケモンの種族ごとに決まっているもの
・同じ種族のポケモンでも異なるもの

の二つになります。

そもそもポケモンの種族とは何か。
例を挙げて説明しますと、これはいわゆる「ピカチュウ」のことです。

「ピカチュウ」というポケモンの種族がいますが、このピカチュウは捕まえたり、卵を産ませることで何匹でも増やすことができます。

しかしながら、全ての「ピカチュウ」で共通であり、変えられない部分があります。

それが前者になるのですが、

・種族値(種族ごとに決まっているパラメータ)
・技(対戦中に取ることのできる行動)

となり、この二つは全ての「ピカチュウ」で共通となります。


しかしながら、同じ「ピカチュウ」でも異なる部分があります。
それが、

・性別(オスかメスか)
・性格(どのパラメータが伸びやすいか)
・努力値(どのパラメータを重視して育てるか)
・個体値(どのパラメータがどこまで伸びるか)

というものです。

特に曲者なのが最後の「個体値」と言われる隠しパラメータです。

他の「性格」や「努力値」がポケモンの戦い方の方向性により選ぶものだとすると、この「個体値」は単純に高ければ高いほど良いものになります。

しかも、個体値のパラメータは0~31までの32段階に、6種のステータスを組み合わせたものなので、32の6乗という膨大な確率があります。

さらにいうなら、「確率」と表現したように良い「個体値」のポケモンが手に入るかどうかは「運」に左右される部分がきわめて大きいのです。


■勝利のために「運」が「技術」にすり替わっていく

前回の記事で書いたように、ゲームに勝利し、楽しむための要素は、「知識」「技術」「運」の3つに集約されると私は考えます。

そして、当初この「個体値」の良いポケモンという存在は、対戦における「運」のエッセンスとして機能していたはずです。

しかし、ポケモン対戦が白熱し、誰もが勝利を目指していく過程で、少しでも良い「個体値」を手に入れられるように、確率を高める「知識」が広まっていきました。

そして、時代はいよいよ末期。

今となっては、ポケモンは「最高個体値」でないと勝ちにくい時代に突入してしまっています。

本来は「運」であった部分が、くじが当たるまで引き続けるかのように、何十時間という膨大な時間を使って、良い「個体値」を手に入れようとするのが当たり前になってきました。

言わば「運」が「技術」(言い方を変えると「時間」)によって誰でも手に入れられるものになってしまったのです。


■誰もが時間をかければ到達できるならいっそなくしたらどうか

ここからは個人的な提案になりますが、ここまで「最高個体値」が当たり前になり、そこに膨大な「時間」が費やされるのであれば、いっそのこと「個体値」の概念をなくしてはどうかと思います。

少なくとも「個体値」をそこまで意識しなくても勝つことができるように、対戦における重要度を下げるべきだと思うのです。

なぜなら、対戦で勝つための要素が、膨大な「時間」だとプレイヤーの幅が限られてしまうからです。

と、時間に追われるサラリーマンの筆者は主張します。

そこが元々「技術(この言葉はぴんと来ないので今後は『努力』と呼びます)」で楽しむ部分だったらよかったのですが、今は「運」が「努力」にすり替えられてしまいました。

人気ゲームであり続けるためには極めてバランスが悪い状態といえます。


しかも、対戦に熱中している人の中では誰もがその「努力」を当然に行うというのであれば、差別化できる部分ではないということです。

結果として、最低限必要なものとして、ポケモンプレイヤー全員の時間を浪費してしまっていることになります。

プレイするうえで誰もが必要な(かつ単純作業なんです)部分であれば、いっそ大幅に省力化するなり、要素ごとなくすなりして、より多くの人が参戦しやすい状況を作ってほしいと思います。


事実、以前は全ポケモンのレベルを50に揃えて対戦しなくてはいけなかったのですが、今はどのレベルであろうと、対戦時に50に自動で調整してくれるようになりました。

これは非常に画期的な調整だったと今でも思います。


もちろん、人によってはその「努力」により、「努力」できない人々に対して優位に立てるから良い、という意見もあるとは思いますが、現在はどちらかというとそういう「努力」できない人は退場してしまっているように感じます。


もう一度、バランスを取り戻し、ライトな層からヘビーな層まで対戦に熱を上げるために「個体値」厳選の省力化を提案したいです。




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せっかく自分でゲームの評価制度を作ったので、これもフィーリングでつどつどゲームを評価していきたいと思います。

個人の感覚なので何も保証しませんし、ゲームソフトではなく、シリーズまとめてや、一部分の評価になることもありますが、まあ気楽に見てください。


★の数による5段階評価です。

「ポケットモンスター:対人対戦」

知識:★★★
努力:★★★★★
運 :★


「努力」に該当するのは、強いポケモンを厳選する時間、強いパーティを構築する考察力、最善の一手を選択する読みあい(その元となる経験)のあたりです。
「運」は急所に当たる確率や技を外す確率ですね。意外とこの部分が大きいという噂もありますが、とはいえ平準化されていく部分です。