3月決算の会社ではいわゆる今期が粛々と終わりに近づき、来期の人事異動に関してそわそわし始める今日この頃、いかがお過ごしですか?

業績の浮沈が激しいベンチャー企業で生きる自分としては、毎年人事異動の可能性がありますので、ときに喜び、ときに楽しみとすぐ飽きてしまう自分としては概ね人事異動を歓迎しております。

そんな中、今期から担当している新規事業に早くも限界が見え始めたので、次なるチャレンジの場として来期は人事部への異動願いを出しているところでありますが、人事の知識などかけらもない私が、もし人事に異動したら実行したい施策について、ここで思考実験がてら紹介したいと思います。


■部署の業績は担当する責任者が多くを担っている気がする

まず、私の考える会社の重要かつ難しい機能の一つとして人材配置にスポットを当ててみます。

特に、各部署の責任者クラスの人事についてです。

快進撃を続ける日本サッカーA代表のザッケローニ監督や昨今話題の橋下元大阪府知事のように、責任者もしくはリーダーの存在というのは組織の業績に大きく影響します。

私の考えるリーダーの仕事をかいつまんで説明すると、ビジョンを示し、戦略を描き、価値基準を決めるという、「こういうことしたいから、こうやって攻めて、こういうことできたら褒めてあげる」という内容になります。

これができる人とできない人、もしくはちゃんとできる人とできない人では担当組織の業績に大きな差が出てくると考えています。

如何に優秀なメンバーがそろっていても、ゴールの設定場所を間違ったり、道筋を示さなかったり、どうすれば勝ちかを教えてあげなくてはビジネスという名のゲームで勝つことなどできないのは自明の理ということでご理解いただけると思います。

業績向上の鍵は各部署に割り振られているリーダーが握っているのです。


■嗚呼、最適な人材配置のなんと難しいことか

ところが、そこまで重要などこに誰を配置するかということが非常に難しいということに最近気づきました。

一番簡単なのは、会社における各部署の重要度に優先順位をつけて、リーダーたりうる人材にもその能力により順位をつけて、いわゆる比例代表のごとく、上から順にポストを割り当てていくのが、単純かつ効果的だとは思っています。

とはいえ、部署メンバーとの相性や持っているスキル、今までの経験、SかMかなど、単純に能力の高低というよりはジャンルの違いや指向性といったものも重要な要素ですので、何とも言えないところです。

また、そもそもその能力値に準じたつもりの比例代表名簿の正しさを担保するのも至難の業です。

簡単に数値化できる部類のものではありませんし、主観的に誰かのイメージで作っていけば、不正の温床となったり、日の当たらないところで隠れて優秀な人材を見過ごしてしまうかもしれません。

どこの会社でもこれは悩む部分であり、だからこそ勝利の鍵足りうるのだとも思います。


■長く澱んだ水は腐っていくの法則

人材配置の適正化を目指すことの難しさについてある一面から見てみます。

まず前提として、先ほどの比例代表の話ではないにしろ、どこの会社でも優秀と言われる人間に重要なポストを任せる傾向にあると信じて書きます。

ただ、「優秀」とはどういうことかと言いますと、現在もしくは過去の部署での成果が引き合いに出されることは想像に難くありません。

しかし、最近気づいたのですが、続投している責任者の多くは自らの成果の基準となる目標値を自分で決めていることがあります。

当たり前ですが、その組織、仕事のことを最もよくわかっているのは現任の担当者ですので、多くの部署を管轄する部長クラスのようなさらに上の上司よりも、現業に詳しく「適切な判断力がある」と思われている現任リーダーが自ら目標値を設定することがままあるわけです。(うちだけ?)

ところが、ここに意外な落とし穴が。

長くやっている責任者ほど権謀術数に長け、海千山千を使いこなすのは世の常。
自分の評価が自らの立てた目標の達成度合いだと知っている担当者は、ときに過度に保守的な目標値を出してくることがあります。

まあ要するに楽して儲けようということです。

そんな人間を見抜けないさらに上の上司さんたちもどうかと思いますが、ここに公平性を担保し、会社としての成長の最大可能性を取り戻す方法はないかと考えました。

そうして生まれたのが、

名付けて「目標入札制度」です。


■秘策:目標入札制度によるポスト争奪戦

やり方はこうです。

まず、現業の責任者に対して、来期の目標とその戦略を提出させます。
もちろん、会社に忠実な担当者は「最大の目標と最適な戦略」を描いてくるはずです。

次に、その目標と戦略を全社に公開し、他の案を持つ人間を公募します。

要件は、

・現状案よりも高い目標とそれを何とか達成できそうな戦略
・現状案の目標をさらに高い可能性で達成できそうな戦略

このどちらかとなります。

このどちらかを公募して、集まったものの中からできそうな人間を上司がジャッジし、次の責任者とするのです。

この方法のメリットはいくつかありますが、一つはこうして外からのプレッシャーをかけることで、現在の責任者が真面目に目標と戦略を立てるようになること。

誰にでもクリアできるようなあまりに保守的な目標を立てると、取って代わられる恐れがあるので、自分でできる本当のギリギリを提出しなくてはなりません。
次に、公募制とすることでやる気と能力があり埋もれている人材を引き上げることができます。

会社の成長が踊り場に指しかかると、ベンチャースピリットを持って入ってきた野心あふるるメンバーの中にはポストが空かないことに対して、不満感を持ち始めます。

そういう野獣たちに対してもチャンスを与えることができるのです。
文句があるなら「倒して、奪え」ということです。

また、会社にとっても全部署が最大の目標を立ててくれるので、足し算した時に当然全社としての最大成長を目指すことができます。

しかも、これが全ての部署で起きるので、部署ごとに目標難易度のばらつきが出ません。

隣の部署がチョロそうでうらやましかったら、「倒して、奪え」ばいいのですから。


もちろんデメリットもあります。

最大の弱点は時間でしょう。
これだけのステップを踏むには結構な手間がかかるので、得られるメリット(個人的には果てしなく大きいと思いますが)と天秤にかける必要があります。

停滞している部署などに絞った方が現実的かもしれませんね。

また、メンバークラスは触れることのできる情報が少なかったり、経験が足りない部分もあるので、そのあたりのさじ加減はジャッジする上司が織り込んであげる必要があります。

もちろん、ハンデがある以上は多少粗くても成長の可能性にかけるのも手ですし、とはいえハンデがないと倒せないようでは、現在の責任者であるおじさんに任せた方が会社としてはまだいいわけです。

このあたりをクリアして運用に乗せることができれば、組織と人材の流動性、配置の最適化に対し、かなり効果的な施策となると考えます。


私の考えた「目標入札制度」を使用したい人事担当の方は、twitter(@murasakihukurou)宛にDMでご連絡くださいw




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答え合わせシリーズ。
既に「目標入札制度」を取り入れている会社はあるのか?

調べてみましたがなさそうな気がします。

では、とりあえず当ブログ更新をもってこの制度案に著作権のようにフクロウ印を認定しつつ、実践するチャンスを虎視眈々と狙っておきます。


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