突然ですが、私はゲームを「観る」という行為が好きです。
と言っても別にゲームソフトやハードをじっと眺めて悦に入るというわけではなく、他人がプレイしているゲームの画面を「観る」のが好きだということです。
古くはお小遣いももらえない小学生低学年のころから、近所の長崎屋のゲームコーナーで絶え間なく流れるデモ画面を見て時間をつぶしたりしていました。
話はそれますが、この頃に培われた性癖なのか、今でもコンシュマーゲームでタイトル画面で放っておくと多彩なデモ映像が流れるのは大好きです。スパロボシリーズとか。
その後、高校時代にはゲームセンターに入りびたり、自分でプレイするとすぐに負けて散財してしまうので、対戦格闘やシューティングのうまい人のプレイを後ろから見るのをライフワークとしていました。
そして時代は流れ、インターネットの普及により合法かどうかはさておき、Web上には多くのゲームの動画がUPされるようになり、暇さえあれば上級者の超絶プレイを肴に酒を飲んでいる今日この頃です。
今回はこの大好きなゲーム観戦を「合法化」の方向に向かわせるとともに、ビジネス、エンターテイメントしてさらに普及させることができないか、考えてみます。
断っておきますが、著作権のことなどほとんど知りませんので、法律上の答え合わせはできません。
あくまで一ユーザーとしての視点で書きますのでご了承ください。
■ゲームを「観る」という行為がなぜ楽しいのか
そもそもですが、なぜに私がそんなにゲームを見るのが好きなのか?
理由は自分でもよくわかりませんが、私が好きなゲーム動画の傾向として、自分よりもはるかに上手な人のプレイ動画が好きだということがあります。
正直、改造とかネタバレみたいなのはあまり好きではありません。
これはどういうことかというと、単純に「憧れ」なのだと思います。
自分が到底到達することが出来ない深みにいる人間を見て、自分は決してそこまで行くことはかなわないと知りながら、それでもそこにシビれる、憧れるというわけです。
でもときにはその動画に触発されて、自分でも真似しようと思って実際にプレイしてみることがあります。
まあ大抵はうまくいかずグダグダっとなり、いそいそと動画鑑賞に戻ってしまうわけですが。
■ゲーム観戦はスポーツ観戦と同じもののはずなのに
こうして考えるとこのゲーム観戦が好きという気持ちは、そのままスポーツ観戦に置き換えることが出来ると思います。
自分はほとんどスポーツなどしませんが、サッカーをやるのが好きな人はサッカーを見るのも好きですよね?
日本代表の試合などがあるたびにツイッターのタイムラインが埋め尽くされるのでよくわかります。
で、そういう人はうまい人のプレイをテレビで見て、次自分がプレイする際に同じ技を試してみたりするわけですよ、きっと。
こうして、やる⇔見る、という行為が循環を生み出し、そのスポーツ自体の隆盛、プレイ人口、興行収入の拡大などに貢献している一面があると思います。
他方、ゲームはどうでしょう?
基本的に、やる⇔見る、という好循環は同様に生まれるはずです。
TVゲームというのは入力するためのインターフェースが肉体からコントローラーに置き換わるだけで、ゲームとしての種類はスポーツと大差ありません。というかスポーツもいわゆる"ゲーム"の一種ですし。
それぞれのスポーツなどをゲームに置き換えると以下のように対比させることも可能なはずです。
・野球 ⇒ 打者と投手の駆け引きを楽しむ ⇒ ポケモン対戦
・サッカー ⇒ よりスピーディにスキルと駆け引きを楽しむ ⇒ 対戦格闘
・マラソン ⇒ 個人の鍛えた肉体の限界を楽しむ ⇒ シューティング
・映画 ⇒ ストーリーを楽しむ ⇒ RPG
などなど、こんなに似ているのにゲームを「観る」ということが文化として根付かないのはなぜでしょう?
■越えなければならない壁がちらほら
一つは長らく著作権の問題が指摘されてきました。
プロのスポーツの観戦が放映権で縛られているように、同様に著作物であるTVゲームはソフトメーカーの持つ著作権により、動画の撮影とそこからの二次利用が制限されているそうです。
とはいえ、著作権は親告罪であり、著作者であるメーカーが許してくれれば一応は問題ありません。
現在も多くのゲーム動画がメーカーさんの寛大な判断のもとに、黙認していただき徐々に文化を形成しつつあります。
もちろんストーリー性を重視されるRPGなどやエンディングなどネタバレによる不利益が大きく、メーカーの本来事業であるソフト販売を脅かすようなものは厳しく処分されています。
しかしながら、主にゲームセンター的なジャンルのゲームはプレイヤーとオーディエンスの好循環を起こす方向であれば、メーカーにとっても有利に働くはずです。
なので、メーカーにとっても有利なようにゲーム観戦を展開することで著作権の問題は一応のクリアーができるわけです。
では、なぜ今そこまで普及しないのか?
現状はニコニコ動画のように動画をアップロードする場は整っていますが、動画を提供するのはあくまで個人プレイヤーの趣味の域を出ません。
エンターテイメントとして、広くライトユーザー層まで取り込むためには、ソフトメーカーなど業界側のバックアップが不可欠だと思うのですが。
■一つのゲームソフトで見たときの人口の少なさがネック
ゲーム観戦、メーカーの側から見ればゲーム放送がビジネスとして成立しづらい理由として、プレイ人口の少なさがあると思います。
テレビゲームをプレイしている人口は現在では全世界でかなりの数に上ると思います。
しかしそれは、いわゆる「スポーツをしている人」くらいの広さであり、中には様々なジャンルのゲームがあります。
ましてやゲームの場合は同じジャンルでもルールが全く違うことがあります。
例えば、対戦格闘ゲームでは二人のキャラクターが対峙し、相手の体力を先になくした方が勝ち、という大枠のルールは大概同じですが、スト㈼、KOF、鉄拳、バーチャ、豪傑寺一族など作品、シリーズによって勝敗を分ける肝となるポイントが全く違ってきます。
これが、ゲームを見てルールやポイントをわかって楽しめる人数を相対的に減らすことにつながり、一つ一つのゲームソフトでの「観戦」という部分のうまみをなくしてしまっています。
テレビゲームという娯楽が人気を得て、ソフトが多様化したことによる弊害とも言えます。
せめてスポーツのようにサッカーはサッカーでルールは全世界共通で、各国リーグによって、ロングパス重視とか個人技重視とかその程度の違いであれば成立すると思うのですが。
■数少ない成功例を参考にもっと飛躍してみる
一つ一つのゲームのルールの違いが、観戦者の敷居を高くしてしまっているのであれば、詳しい解説が対策として成り立つはずです。
事実、アーケードゲームの全国大会「闘劇」などはスポーツさながらに毎年多くの観戦者が訪れ、実況、解説によりかなりの盛り上がりを見せていて、観戦側から見たゲームイベントとしても数少ない成功例です。
また、「闘劇」の特徴として、最新のゲームだけでなく、過去のゲームバランスのいい人気ゲームを種目として取り上げることも特徴的です。
こうして、いいゲームをロングラン化させ、楽しめる人口を増やしているといえます。「闘劇」を観戦して、やけぼっくいに火が付いたかのごとく、再度プレイを始めたという人もいるのではないでしょうか。
この流れを応用できれば、一度売り切りのコンシュマーゲームにとってもいい方向に働くはずです。
基本、自社が制作したソフトは一度売ってしまえばそれっきりですが、大会、観戦という形で盛り上がってくれば、もう一度販売チャンスを作ることにもなりますし、観ることそのものに課金することが出来れば継続的に売上を生み出すこともできるかもしれません。
また、ネタバレ禁止として規制の厳しいRPGなども映画とDVDの関係を参考に、もっと「観る」ことがビジネスになる気がします。
私などは昔プレイしてクリアした作品でも、ストーリーの細部は忘れてしまうので、ストーリーだけ動画で見てみたいと思うときが良くあります。
しかし、それが中古に売るなりして処分してしまったソフトでは基本かないません。
なので、人気のあるRPGが発売から一定程度時間がたった後に、ストーリーだけを映像として凝縮して、視聴できるように提供してほしいのです。
もうほんと既存ゲームの映像の切り貼りで構いませんから。
さすがにもう一度買ってプレイする意欲はありませんので、決してその層は販売機会の損失にはならないはずです。
仮に買うことがあったとしても中古のはずなので、メーカーには特に影響がありません。
ゲームアーカイブスやバーチャルコンソールも結構ですが、かつて特定の人気ゲームで販売されていたストーリーブックのように、ストーリーだけをムービーとして販売してくれれば、価格によっては買ってしまいますね。間違いなく。
というわけで、ゲーム業界自体が発展していくために、プレイする部分だけでなく観戦するという、いわゆる周辺ビジネスに目を向けていけばもっと飛躍できる可能性があるのではないかというお話。
それこそスポーツのように、観る⇒やる、という流れでプレイ人口の拡大にもつなげられるはずですしね。
一日中ゲームのプレイ動画が流されているゲームチャンネルがあったら迷わず入会です。
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ゲームライターの田下さんのブログを久々に読んでいて、以下の記事に刺激されたので一筆。
駆け引きのポイントがわかっていると、ほんとにポケモン観戦は面白いです。
ポケモン観戦がこんなに面白いなんて
今回は導入なのでいろいろな方面のことをぐちゃぐちゃと書いてしまいましたが、ゲーム観戦の普及は人生をかけて推し進めたい部分の一つなので、継続的にこのネタは今後もポストしていきたいと思います。
というか昔アサヤンかなんかでバーチャ2の対戦を放送してた時期があったよなー。ブンブン丸さんとかあそこ出身じゃなかったけ。