Amusement Arcade / Dick Thomas Johnson
お決まりのゲームネタですが、今回はゲームの楽しさについて言及したいと思います。
最近このブログを書くにあたってゲーム業界のことをちょっと勉強しようと読んだのがこちらの本。
※書評は最後に少しだけ書きます。
で、こちらの本を読んでいてゲームの定義などを考えていく過程で、たまに議論になるゲームの「楽しさ」について、自分なりの考えをぶってみたいと思います。
■条件1:達成感を味わえるゲームは楽しい
さて、ゲームの楽しさと言っても人によって違いますし、ジャンルによっても全く違う部分なので、一言でまとめるのは非常に難しいです。
でも、あえて一言でまとめるとゲームで楽しさを一番感じるのは「達成感」を感じるときだと思います。
達成感がゲームによって全く違うので全然まとまってないのですが、いわゆるゲーム開発者側が設定した目標をクリアしたときに感じるもの、とでも置き換えればわかりやすいかと思います。
例えば、対戦格闘であれば相手に勝った瞬間、RPGであればラスボスを倒してエンディングを見た瞬間、カードゲームであればコンプリートした瞬間。
これはゲームのラストだけでなく、節目節目に開発者によって狙ったように配置されており、それらを味わう瞬間というのは、わかっていても笑ってしまう定番コントのように、実に心地よい楽しさに包まれているものです。
なので、この達成感を感じられるか否かが、楽しいゲームかどうかの一番の線引きになると思います。
■では達成感を味わうための条件は
どんなゲームでも多かれ少なかれ開発者は必ず楽しいポイントを設定していると思いますので、それを言ってしまうと全てのゲームが楽しいことになってしまいますが、現実はそうではありません。世にクソゲーと呼ばれるものが数多あるのもご承知の通りかと思います。
これはゲーム開発側が意図したとおりに、プレイヤーに楽しいと思ってもらえなかった。言い換えると、楽しさを発現するためのトリガーが機能しなかったといえると思います。
どういうことかというと、例えば通常RPGであればクリアするまでに非常に長い時間がかかります。最初はボロカスのように弱かった主人公を必死の思いで育て、それでも強いラスボスを知恵と勇気を振り絞って倒す。この過程があってこそ、最後のエンディングで味わえる達成感が膨らむわけです。
なので、ゲームバランスと言われる部分ですが、これがうまく調整されて最後に達成感を味わうためのトリガーとして機能しないとクリアしても全然楽しくなかったゲームとなってしまいます。クソゲーがまた一本誕生というわけです。
この達成感という部分は通常、そこまでの過程が厳しければ厳しいほど強く感じられるものです。なので、簡単すぎるゲームというのはよくクソゲーと言われがちです。
矛盾しているようですが、達成感を味わって楽しさを感じてもらうためには、その過程は楽しさを感じないくらいにつまらない部分を演出する必要も時にあります。極論。
■条件2:プロセスを楽しめるゲームはより楽しい
しかしながら、ゲームはゲーム。あくまで娯楽です。
あまりに途中の難易度を高くしてしまうと、最後までクリアせずにプレイをやめてしまうかもしれません。ゲームは仕事ではないのですから。
なので、元に戻りますがバランス調整が非常に重要であり、簡単すぎず難しすぎずという部分をゲーム開発の終盤では詰めていく必要があるわけです。
そして、さらに楽しいゲームというのは、この結果としての楽しさを感じるために必要不可欠なプロセス部分、作業すら楽しいということがあります。
無駄に簡単なわけではありません。歯ごたえがありつつまた別のところで楽しさを表現している例が多いです。
触って動かしているだけで楽しい、とたまに表現されることがありますが、この部分がしっかりしているゲームはプラチナ殿堂入りと言っても過言ではないでしょう。
そういう観点でいくと、テイルズシリーズや聖剣伝説シリーズに代表されるようなアクションRPGというジャンルはジャンルそのものが名作になる匂いをぷんぷんさせます。
これらは私も大好きなシリーズですが、ことRPGにおいて単調な作業になりがちな戦闘という行為を楽しく表現した好例だと思います。実際レベル上げも全然苦ではないんですよね。
また、ここから逆輸入の形で通常のRPGに「ボタンをタイミングよく押す」くらいの簡易のアクション的要素を取り入れて、戦闘を飽きさせない工夫をしているケースもあります。
どこまでやるかはターゲットユーザーの操作レベルから考えて、ゲームバランスの調整のなかで決めるべきことでしょうね。
ということで今回の結論です。
楽しいと思えるゲームの条件とは、
条件1:達成感を味わえるゲームは楽しい
条件2:プロセスを楽しめるゲームはより楽しい
ということに落ち着きました。
「アクションRPGにハズレなし」を今日の教訓として持ち帰っていただければと思います。
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初めての書評。
ゲーム業界の入門書的に書かれていたので読んでみました。
最初は哲学的な部分でのゲームとは?という部分から入り非常に興味深く読めました。
が、それは最初の1章だけで、すぐにゲーム業界で働きたい人向けの話になってしまいます。
自分としてはゲーム業界で働きたいわけではなかったので、プログラマに向いている人、みたいな部分はあまり読んでいて楽しくなかったです。
ただ、最後についている20日間でゲームの企画書を書いてみる実践編は今後何かの役に立ちそうな気がします。
ゲーム業界への就職を夢見ながら、暇な時間にはゲームについて哲学するというインテリ気質の青年にはおすすめ。