東京ゲームショウ2009 / Kentaro Ohno

とあるブログを読んでいて思ったことがあるのでまとめます。

ソーシャルゲームとコンテンツビジネス

気になったのはソーシャルゲームの分野で最近版権、原作モノが増えてきたということ。

GREEの怪盗ロワイヤルでビッグバンを起こし、mixiのサンシャイン牧場でライト層を完全に引き込み、大ヒット御礼中との噂であるドラゴンコレクションでコナミが本気を出すとそれまでのテレビゲーマーを巻き込んでソーシャルゲームは一大市場を築きました。

そして今、ソーシャルゲームはそれらオリジナルコンテンツが築いた市場をベースに、元々人気の高いアイドル、アニメ、テレビゲームを広告塔とすることでさらに急拡大を考えているようです。

ソーシャルゲーム業界のこの流れは果たしてうまくいくのか?

ソーシャルゲームはぶっちゃけ楽しくないのでほとんどやったことないのですが、外野から解説してみたいと思います。


■版権モノソーシャルゲームの類型

まずはじめに版権モノソーシャルゲームとして、どのようなものがあるのかちょっと分類してみます。

【アニメ系】
ワンピース グランドコレクション
ガンダムカードコレクション

【テレビゲーム系】
ファイナルファンタジー ブリゲイド
アイドルマスター シンデレラガールズ

【アイドル系】
AKB48ステージファイター
聖戦ケルベロス(EXILEキャラ)


ドッドッドリランドなどもアイドル系に収まるかと考えたのですが、CMを見る限りオリジナルキャラクターを押してきているようなので、あれはTOKIOを販促に利用しているだけ、という結論に至りました。

ざっと私が思い出せるだけでもこれだけあります。
きっとTVCMを打たずにひっそりとリリースされているタイトルが裏にはまだまだあるはずです。

驚くべきはEXILEでしょう。
CMで見る限り、美しすぎる聖戦ケルベロスとやらに全力を傾けているのかと思いきや、

エグザムライ戦国
ラストエグザイル 激闘!空族バトル

と最近になってさらにわさわさ湧いてきたようです。どうしてこうなった。


■テレビゲームも昔はそうだった

これだからソーシャルゲームはミーハーでいけねえ、と断じるのは早計というものです。

日本におけるテレビゲームのパイオニアたるファミコンの時代にも同様の現象はありました。

現在までも良好な関係を続けるガンダム、ドラゴンボールなどはやはりファミコンの時代から既にソフト化され、ジャンルを色々と渡り歩きながらも継続してリリースされ続けています。

また、アイドルというか有名人をモチーフにしたゲームも当時は多く、

さんまの名探偵
たけしの挑戦状

などが良くも悪くも有名ですし、

カケフくんのジャンプ天国
ラサール石井のチャイルズクエスト

などという意欲作?もありました。

その後の歴史を見ると、取り上げたタレントが悪かったのでは?と思わなくもないですが、何はともあれ有名人ゲームは下火になっていき、現在ではほとんどその姿を見ることが出来ません。


■テレビゲームからタレントが消えた理由

なぜ、アニメ原作モノが生き延びてきた中で、タレントモノが滅びてしまったのか?

これは各所で既に言われている話ですが、テレビゲームとの親和性の問題でしょう。

今でもそうですが、ゲームとアニメというのは両方好む人間が非常に多く、要するに層がかぶっているのです。

なので、ユーザー側も自然に受け入れられますし、作り手側も両方の長所を引き出すようなタイトル制作が可能になります。

ところが、タレントのファンはゲーム好きとは限りません。というかやや遠い存在とも言えます。

そんな人間をタレントの知名度を使って呼び込もうとしても、元々ゲームが好きではないので長続きはしません。
売りきりのテレビゲームではそれぞの作品は多少売れたとしても業界に文化としては根付かなかったのだろうと思います。


■ソーシャルゲームは今後どちらに向かうべきか

さて、話をソーシャルゲームに戻します。
ソーシャルゲームは今後どちらに向かうべきなのか?

ソーシャルゲームは元来パッケージで販売するテレビゲームと違って、ユーザーが集まって楽しむ「場」を提供するものです。

なので、怪盗ロワイヤルなどのように、一度ユーザーに支持されて巨大な「場」を作ってしまうと、基本的にはその「場」をどんどんアップデートして盛り上げていけばよく、そもそも新作ソフトというものがあまり必要でありません。

が、それでは新規のユーザー層を獲得することが出来ないので、現状はまだソーシャルゲームに手を出していない層を取り込むために、わかりやすい版権モノに手を出しているということだと思います。

しかし、ソーシャルゲームを文化レベルまで発展させるためにはこれではいけません。
特にタレントモノは。

前述の通り、親和性の低さから結局ソーシャルゲームへの定着が望めないばかりか、巨額の使用料により原価の高騰を招きます。

もともとテレビゲームに比べ、遊ぶシーンが細切れになり、デバイスの性能も落ちるため、それほど制作部分にコストをつぎ込む必要がなく、それゆえに高い利益率をキープしてきたビジネスです。

が、タレントと提携することはその強みを放棄することになります。

タレント事務所側はイメージが崩れない様にアレコレと要求するでしょうし、そうすると制作コストもかさみ、加えて巨額の使用料です。

これらは本来のゲーム制作部分にかけられる時間が減るなど、本質的なゲームの作りこみ部分をおろそかにし、さらにコストを早急に回収するためにファン心理に付け込んだ無理な課金を行うことにもつながるでしょう。

タレント側にとっては少ない労力で多くの層にリーチでき、さらにマージンまで入ってくるのでウマウマですが、ゲーム開発会社は搾取されるだけで終わらないか心配になります。


■求められるソーシャルゲームの救世主

では版権モノを捨ててどのようにソーシャルゲームを盛り上げていくべきか。

これも答えは先輩であるテレビゲーム業界が握っている気がします。

タレントブームの終焉以降、テレビゲーム業界は人気ゲームのシリーズものが幅を利かせるようになります。

というかタレントブームの終焉と同時に、ファミコン業界は「出せば売れる」というバブル期を過ぎていたのだろうと思います。

その時点でユーザーに愛され生き残っていたゲームは、とどのつまり本当に面白いゲームたちであり、自然それらの続編を出せばヒットするという流れが生まれます。

さらにこのシリーズものが生み出した恩恵として、シリーズを股にかけて活躍する、ゲームを代表するキャラクターの誕生がありました。
これこそ、今のソーシャルゲームに足りないものだと思います。

テレビゲームは安易なタレントモノから足を洗い、自分たちでオリジナルのタレントを生み出すことを追求しました。その結果、マリオ、ピカチュウ、ソニック、ダルシムなどゲームファンならずとも知っているゲームオリジナルの人気キャラクターたちが数多く誕生しました。

これがテレビゲームが文化として根付いた大きな要因だと思います。


ソーシャルゲームはプレイヤー自身をキャラクター登録して、個性豊かなカードなどを駆使して戦うのが主なので、カードの方にキャラクター性があっても、それは所詮RGPでいうところの装備品であり、感情移入、記憶に残るというレベルまでは到達することが出来ません。

そもそもソーシャルゲームの遊び方が、誤解を恐れず言えば「暇つぶし」である以上、難しい部分なのは重々承知ですが、この壁をぶち壊し、ソーシャルゲームのメジャータイトル、そしてそこから生まれた代名詞とも言えるキャラクターが誕生することでソーシャルゲームの未来は開けるのではないかと思います。

ソーシャルゲームが時代の「暇つぶし」で終わらない様に、こういうゲームの遊び方もあるんだ、という一つの文化として、テレビゲームやアーケードゲームと切磋琢磨しながら存続し、ゲーム業界そのものを牽引していってくれることを一ゲーム愛好家として願っております。


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