最近子育て関連のニュースが目につく。

ソースは発見できなかったが、今週のワールドビジネスサテライト(だったと思う)で理系の方が文系よりも年収が160万円多い、というネタをやっていた。

そしてそれを裏付けるように塾通いの親たちにインタビューしていたのだが、「子供の将来のために数学を勉強させたい」などと言っていて、そんなもんかと思っていた。

確かに私の周りにも子どもを何が何でも有名私立や評判のいい公立学校に入れたい、と宣言してはばからない人もいる。

そして、今日見つけたのがこちらの本↓


自分はまだ子どもを作ってはいないが、これらの風潮を受けて子育て、ひいてはこの国の少子化問題について思ったことをつらつらと。


■子育てのコストは想像以上に高い


放任主義で育ててもらった自分にはよくわからんのだが、どうにも「今の日本で子供を幸せにする」ためにはいろいろな配慮が必要らしい。

受ける教育から周りの友達、はては口に入れるものまでとにかく面倒を見てあげたいという親が相当数いるようです。

何かの調査で、子どもを一人育てるには2000万円くらいの養育費がかかる、というのを見た気がするが、それはあくまで平均。

ちゃんと「子どもを幸せにしよう」とするともっともっとお金がかかるのではないでしょうか?


■子どもを作るためのマトリックス


仮にですが、親には子供を幸せにする責任があるとします。

まあ産みっぱなしで不幸にしたい親というのはほぼいないと思いますので、大半の親になろうとする人は、自分の子どもを幸せにしたいと思いますよね。

でも簡単にできるものではありません。

前述のように、金銭的な面だけでも子どもを幸せにするためにはいくつかのハードルがあるようです。

なので、子どもを「産みたい」かつ「幸せにできる」人というのは非常に限られていて、今はその限定的な人たちだけが子どもを作っているというわけです。(例外は突発事故的な妊娠)

【子どもを作れる人の条件】
child


単純に1/4ずつ分布しているわけではないでしょうが、概念としては1/4です。

少子化のスパイラルに陥るのも仕方のないことですね。


■子どもの幸せを定義するのはさらに厳しい


さらに言うならば、私みたいな能天気かつ無責任な大人は別にして、基本的には子どもの幸せの定義を「自分以上」というところに基準を置いているのではないかと感じます。

自分が不幸だと感じるならば、自分と同じ目には遭わせたくない。

自分が幸せだと感じるならば、自分と同じようになってほしい。

世の中の全員が幸せでない限り、自分より幸せになってほしい、という気持ちは消えないでしょうから、ここでも子どもを作ろうとする気持ちは100%を下回ることになります。つまり減らす力が働くということ。


■概念として少子化を解消するには


ちょっと抽象的な話が続きましたが、要するに、「子どもを作ってさらに幸せにする」というのはかなりの狭き門なので少子化に歯止めをかけるのは難しいよね、という趣旨です。

解決策としてはどんなものがあるのか?

・産みたいという気持ちを強くさせる

⇒子どもを作ることのメリットを金銭的にでも情緒的にでももっと社会として訴求することです。

前者であれば補助金など、後者の方が難しいですが、そもそも動物として子孫を残そうとする気持ちは本能で存在するはずなので、そこまで考慮しなくていいかもしれません。


・幸せにできるという自信をつけさせる

⇒一つは子どもを産みたい層の能力を上げることです。補助金による金銭的な支援であったり、教育による技術的な支援が考えられます。

自分なら子どもを幸せにすることが出来る、という自信を深めることによって、産みたい層が躊躇なく産めるように働きかけます。


また、最も重要だと思うのが、「子供の幸せ」のハードルを上げ過ぎないことだと思います。

幸せという概念は、上を見れば見るほど際限がなくなっていきますので、どこかで妥協することが肝心です。

私ほど無責任になれとは言いませんが、最低限の基準さえ満たしておけば、子どもはだいたい幸せだろう、と楽観的に捉えることも大事だと思います。


そういう観点からすると、(批判するわけではないですが)冒頭で紹介している「子どもに○○させてはいけない」のようなマニュアル本はいたずらに不安をあおる面もあると思います。

本来であれば、子どもはそんな事とは無関係に幸せになっていくかもしれないのに、本人不在の中で「幸せのハードル」を上げてしまい、結果として親世代の産み、育てる自信を喪失させていく。

親世代がマニュアル本に頼ることなく、自分という人間に自信を持ち、遠慮なく子どもを作っていける環境づくりが、究極唯一の少子化対策かもしれません。