
たまには宣伝めいた内容でも。
私の大好きなマーケティング界の巨匠、大西宏さんが日本酒業界について触れていました。
きっと日本酒ブームがいつかやってくる
日本酒かあ。確かに飲まないよなあ。
私はもっぱら焼酎党だが、特に好んで飲まないお酒が日本酒とウイスキー。
大学時代に安い酒を飲んで悪酔いして以来トラウマになってしまい、よほどのことがない限り手を付けないジャンルということで確定してしまいました。
日本酒は本当においしい店で飲むと、おいしいというのはわかっているんですけどね。
大西さんが指摘する通り、なかなか先入観を払拭できないでいる人が多そう。
で、そんな日本酒のイメージを覆すために頑張っているサービスがあったような、、、ということで思い出したのがこちら↓
SAKELIFE
友人の友人が立ち上げたらしいのですが、ちょっと紹介。
■SAKELIFEとは
SAKELIFEとは、日本酒の定期購入サービスです。
申し込んでおくと、毎月おすすめの日本酒を勝手に送ってくれるんだとか。
料金は安いプランが月額3000円。で4合瓶が一本。
よほどいいお酒でないとちょっと割高に感じてしまう価格設定です。
が、SAKELIFEの本領はここから。これだけならよくある話なんですが、ついでに隔月でお猪口や徳利などの日本酒を楽しむためのグッズを送ってくれるらしい。
ついでについてくる情報提供のメルマガはまあ置いておくとしても、なんとも小粋なサービスではありませんか。
私の酒好きの友人は、ちょうど日本酒を勉強しようと思っていたところらしく、うってつけということで入会する意欲満々でした。
■酒を売るのではなく酒を飲む文化を売る
このSAKELIFEの考え方、非常に興味深いです。
日本酒そのものを積極的に売ろうとしても興味のない人はなかなか手が出ません。
それよりも日本酒を飲む習慣、いわば「酒を飲む文化」を売ることで、あとは勝手に呑兵衛が生まれてくる、と。
日本酒のように「存在は知っているけどなかなか手が出ない」というジャンルが売上を伸ばしていく手法としては、時間がかかるものの効果的ではないかと思うのです。
通常、企業が売上を伸ばしていくためには、大きく二つの方法があります。
一つは業界内でのシェアを増やしていく方法。
そしてもう一つは業界そのもののパイを増やしていく方法。
SAKELIFEが狙っているのは後者の「日本酒業界そのもののパイを増やす」という考え方です。
こちらの方が、競合との価格競争に陥りづらいので、時間はかかるのですが、利益が高くなりがちということで、よく業界のリーダーがとる戦略の一つです。
が、SAKELIFEはそれを販売業者なのかサポーター的なポジションから行っていこうというのが非常に面白いなと感じます。
■言うは易し、するは難し
今回のSAKELIFEの試みはtwitterやfacebookといったわかりやすいソーシャルメディアを使った話とかではなく、思考が非常にソーシャル的だと感じます。
時間をかけてゆっくりとファンを獲得していくことが、長期的に見て自分たちの利益につながる、というのは美しいビジネスの展開ですね。
簡単なことではありませんが。
さらに日本酒業界の中では競合しませんが、アルコール飲料業界の中では思いっきり焼酎やワインとのシェア争いにもなるわけなので、ますます難しいというか日本酒業界全体での取り組みになっていかないと大ヒットは難しそうですね。
■「文化を売る」サービスの今後
ついでにこのSAKELIFEのように定期購入の名のもとに「文化を売る」サービスが他にどんなものがあるか調べてみました。
古くからあるのは雑誌や新聞、牛乳、ヤクルトなどがありますが、これらはちょっと狙いが違います。
単純にもともと商品を好きな人が、わざわざ買いに行く手間をなくすために定期購入してもらって、販売量を上げるのが目的です。
また、ちょっと珍しいところでは健康食品とか某デアゴスティーニのようなものも定期購入がメインですが、こちらはどちらかというと一度購入した人を、なんとかしてつなぎとめようとする「囲い込み」というイメージが強いです。
勝手な先入観ですが売ろう売ろうとするいやらしさが先に立ちますね。
比較的最近のところで、うまくやっているなあと感じるのがオイシックスでしょうか。
こちらも基本は有機栽培の野菜などの宅配サービスなのですが、中にはお任せパックのようなものがあって、そちらを頼むとあまり市場には出回らないような珍しい野菜とかも勝手に混ぜて運んできてくれるというサービスもやっています。
ちょっと料理や食べることが好きな人にとっては、毎回同じようなメジャー野菜だけではつまらないので、ちょっと変わった野菜を適当に送ってきてくれるというのは魅力的にうつります。
事実、私もうっかり入会しかけました。
やはり、有機野菜や日本酒のように多少「嗜好品」「贅沢品」といったジャンルの方が親和性は高いんでしょうね。
ファンを作り、文化を売る、という考え方は。
そう考えると、私の好きなゲームやプラモは普通に狙えそうな気がしますね。
今遊んでいるゲームをクリアしそうなタイミングに合わせて、次のおすすめゲームを送ってくれる。
しかも、ゲームそのものに飽きない様にジャンルを分けたり、新作旧作織り交ぜたり。
こんなサービスあったら使っちゃうなあ。というかなかったら自分で作るか。